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●代谷 原子力の利用について、このパネルディスカッションでは結論を出すのではなく、皆さん方も一緒に考えていただく契機にしていただければと思います。最初に4人の方々から、それぞれの立場で暮らしと原子力のつながりについてお話をいただきます。
●ラヴィンニュ
フランスと日本との共通点は、環境にこだわりがあり、そしてエネルギー資源に乏しいということです。ですから、フランスではエネルギー源の選択肢が原子力しかなかった。発電所の多くは郊外にあります。それは原子力発電所が国民に信頼され、安心感があるためだと思います。
フランスでは70年代初めのオイルショックをうけて、74年から大規模な原子力計画を推進。急ピッチで原子力発電所を建設しました。またそれと併行して、プルトニウムを利用する増殖炉も計画しました。現在、全国に57基の発電所があり、安い電気を発電しています。エネルギー安定供給や温暖化防止にも貢献している原子力は、フランスでは大変重要なものと認識されています。
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※ 約30年の運転を終えました
出典:日本原子力産業会議「世界の原子力発電開発の動向2000年次報告」
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2000 年時点でのフランスのエネルギー自給率は50 %です。資源の乏しいフランスにとってプルトニウムは非常に大切な資源であり、MOX燃料として利用されており、30年ちかくのプルサーマルの実績があります。また年間850トン使用済燃料を処理できる再処理工場と、MOX燃料製造工場があります。MOX燃料の利用でまず忘れていけないことは、通常運転している原子炉にもプルトニウムが存在していることです。それはウランとプルトニウムを混ぜたMOX 燃料と大きな違いはありません。現在21基の発電所でMOX燃料を利用しています。その結果プルトニウムの国内蓄積量を減少できる上、プルトニウムを可能な限り原子炉の中に存在させるようになります。
●井上
毎日、電気を使って暮らしている生活者の立場で、原子力との関係についてお話したと思います。95年に阪神淡路大震災がありました。あの時初めてライフラインという言葉が出てきました。それまで水も電気もガスもどこから来るのか考えなくても、栓をひねると出て来る・スイッチを押すとつく、ないという経験がなかったと実感しました。電気って誰かが安定して安全に送ってくれているからこそ私たちは安心して暮らしていけるんです。暮らしの豊かさは三つの安といって、「安全」「安心」「安定」これがいかに大事かということを体感しました。
私にとっての原子力は“原子力”そのものではなく、発電燃料の半分はウランを基に発生してくる“原子力エネルギー”だという捉え方です。そして情報はマスコミやメディアからいろいろ入ってきますが、自分の目で見て耳で聞いて、エネルギー事情を生活の場で理解し、できることを考えましょうと6年間やってきました。
●伊藤 日本はフランス同様、資源エネルギーの非常に乏しい国で、今日まで経済、産業、技術において目を見張るような発展を遂げたのは、安定したエネルギー供給があったからではないかと私は思っています。我々は戦後2度のオイルショックを経験。その後、原子力発電所の建設が進み、フランスに次いで世界第3位の原子力発電所所有国となり、安定した電力を得ることができるようになりました。これからの世界のエネルギー確保を鑑みて、“化石燃料の枯渇”“環境汚染”“人口増加”“開発途上国の近代化”がキーワードになると思います。化石燃料の消費をこれ以上増やすことは困難だが、新エネルギーでは大きな電力を確保するのに不適当で、あくまでも補助的に過ぎないと思います。結果、原子力エネルギーに頼らざるを得ない。少なくともこれに代わるエネルギー源が発見されるまでは、原子力が中心になって活躍していかなければならないと思います。
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(注)日本は原型炉のふげん(運転中)、原型炉のもんじゅ(建設中)を含む
出典:日本原子力産業会議「世界の原子力発電開発の動向2000年次報告」
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原子力発電所の必要性は多くの方はご存知だと思います。とはいえ発電所の受け入れは別問題で、そうたやすい問題ではありません。寺田寅彦は「ものを怖がらなさ過ぎたり、怖がり過ぎたりすることはたやすいが、正当に怖がることはなかなか難しい」と言っています。原子力界の者は、原子力への恐怖を和らげて原子力を正当に怖がることを教えていかなくてはならないのではないでしょうか。産業界で行われている施設見学やパンフレットや講演会だけでは限界があると思います。エネルギー環境の現状や放射線や原子力の基礎知識を義務教育の場で学習し、さらに、原子炉の直接運転体験、放射線の基礎実験など、触れ合う学習を適切な施設で行うことが重要だと思います。国民の安全を確保し安心を得るため、安全で安心できる原子力界を構築しなければなりません。原子力は気むずかしい、ちょっと贅沢で腕白な力持ちの“お坊ちゃま”です。しかし、これは安全に扱うことができるようになっています。原子力界に席を置く者が、共に怠けないで真面目に面倒をみれば、安全で安心できる原子力界が築けると、私は信じています。
●高安 原子燃料工業熊取事業所では燃料の成形加工を行っていますが、事業所の取組の中にいくつかのポイントがあります。まず安全装備の維持として、ソフト・ハード・社員の心構えにおいて管理組織をつくり設備の安全と作業マニュアルを管理しています。また核物質を扱うので厳重な管理体制とし、廃棄物や環境影響の減少に努めています。保安管理・防災・広報・地域活動などについて、各諸機関と事業者を含めたネットワークによる協力体制づくりを広い視点で取り組んでいくことが大切だと考えています。一方、事業所も色々な管理において、世界的に認められた標準の手法に則った方法が必要と品質管理並びに環境のISOを導入しています。最後に重要なことは全体の取組を皆さんに知っていただくことと、我々からの働きかけという、これら一連の取組が事業所の重要なテーマと考えています。
| 原子力緊急時の防災体制 |
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出典:経済産業省パンフレット
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JCOの事故は大きな教訓をもたらしています。あれ以降さまざまな方が見学に来られましたが、教訓として (1)事業所自体を知っていただく必要がある、(2)説明を可能な限りわかりやすくする、(3)規制は規制、私ども事業者の考えはこうだと、自主的に両方の考え方を言う必要があると考えています。
また100%の安全はありえないと率直に言うと、その対策をどうしているのかということになるかと思います。原子力は特殊だという認識を持っておられる方が多いですが、決してそうではありません。原子炉も飛行機や医薬品と同じでメリットとデメリットがある。デメリットはリスクですが、良い所も悪い所も紹介する必要がある。ただし、リスクについてはどう感知、認知するか、それに対する対策をどうするかということも、率直に申し上げることが大事だと思います。メリットの一つに放射線の照射があるんですが、その利用推進の実例がジャガイモの芽止めです。リスクの認知と評価につきましては、原子力が特別ではなく、色々なリスク評価の方法を基に、それが飛行機や色々な技術と同じ評価尺度で議論できれば比較しやすい。一方、リスクと対策は事故の対策、危機管理として、原子力災害対策特別措置法がありますが、事業者だけでは限界がありますので、国・自治体・事業者間・行政間との協力というのが一番です。事業者としては安全操業を継続するというのが、最も安心感を持っていただく最後の決め手であり、最大の使命であるということです。 |
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