(文中敬称略)
 
●代谷
 事業者としてはいかがですか。

●高安
 我々の所に来ていただくメリットは、実物を1メートルぐらいの至近距離で、当社の社員が薄いゴム手袋を介して直接触れて作業しているというのを見ていただけることではないかと思います。一般公開や見学会も非常に好評で定着しつつあります。【見学会風景を見る】

●代谷
 井上さんから広報活動を考えてということがございましたが。

●井上
 一般の生活の中にも不安はいっぱいあります。ただ原子力は、触ったり説明を聞いたりするチャンスも少ないから不安になると思うんですよ。説明を聞く機会も少ないし、説明してもらっても難しいことはわからない、説明も1回では興味もわかないので「わからない」で終わってしまう。普段の生活の中では原子力発電所は遠くにあり、原子力の効用をわかっていても普段タッチすることがない、忘れてしまっている。知らないから不安をつくり出していくという循環だと思います。出かけて行っても1回では覚えられないんです。これからの広報は、まず自分の方に引き寄せる、それからとことん説明し繰り返すということを地道にやっていかないと私たちには理解できない。ですから、ご関係の方にはよろしくお願いしたいと思います。
 次に、今日はほとんど都市で暮らす、消費者側の人間が集まっておられると思うのですが、「ここまで生活レベルがきたからにはレベルをおとせない。ですから次のエネルギーが出てくるまで原子力を維持管理していかなくては仕方ないんですよね」という内容を供給地の住民の皆さんが聞かれたら、「原子力発電所を一生、自分たちは目の前に持っているのに、使う側の方はわかっていない」そんな感覚をもたれるのではないかと思います。私たちは実際に供給地側の方と交流してそのような雰囲気を感じたりしましたし、また、直接そう言われることもあります。事業者の現場の人たちとの交流、供給地に住む人との交流、そうやって私たちが知ったことを、子供や友人や地域の人たちに、例え素人の考え・知識であっても伝えていく。

 FAX情報紙「エコ☆キャビン」

 先生たちは子供たちに伝え、私たちは家庭や地域で子供たちに伝えていくという伝達者にもならないと、自分たちはわかっただけでは、なかなか広まらないと思います。次世代の生活の安定を確保することには大事なことで、私たちの責任でもあると思います。

●代谷
 どうもありがとうございました。今日、色々お話を伺って、これを契機に暮らしと原子力のつながりを考える問題提起があったと思うので、ぜひともご一緒に活動していただけたらと思います。先ほど井上さんからもお話がありましたが、やはり不安だということがあると思うんですね。不安があれば、まさに“君子、危うきに近寄らず”ということで近寄らない。近寄らなければ何もわからない。わからないからそこに踏み込んでいけない。だけど一つ考えると“虎穴に入らずんば虎児を得ず”で、エネルギーというのは虎の子なんですね。その虎の子を手に入れるために虎穴に入らなくてはいけないと。人類の文明が進んでいったのは火を利用したからと、よく言われますね。火というのは危険なものです。子供に最初に火を使うのは危険だと教え、それで使えるようになると思います。原子力も使う場合も同じです。安全にやろうとすると、まず、危険性がどこにあるかきっちり認識すること。これが大切で必要なことだと思うんです。
 でもそれで対策を立てて安心してしまっては駄目なんです。工学的な施設ですから、そういう施設は必ず故障がつきものなので、それについても対処をしておく。備えあれば憂いなしという状態で進めていくことが必要です。原子力を受け入れてもらおうと、よく社会的需要性の話もされますが、先に言っても駄目なんです。まず理解して、その上に需要性が出てくると思います。それで、身体で覚えるという感じではないですが、繰り返しが大事です。原子力を暮らしとつなげ身体の中で再現していただきたい。その一つに、近畿大学の研修を利用するとか、体験を通じて我々のものにしていく。これが原子力のエネルギーを安全に有効に使っていける方法ではないかと思います。
 研究や教育に身を置く者として、今の原子力は悪いと言われるけど、エネルギーの源としては既になくてはならないものですね。これは技術ということだけでも大変なことです。教育研究をやる人をきっちりと教育していくために、また、いい人材を育てるために原子力にはまだまだやることがあるということで、皆様、ご理解いただけたらと思います。火を安全に使えるようにするためにも非常に時間がかかるんです。ガスも、最初に使った頃には、ガス爆発とかよく起こりました。今はそんな話はあまり聞かないですね。非常に少なくなった。そういう状態にしていくことが必要だと思います。研究や教育がないがしろにされる状況になると、そこのところが危うくなるんで、皆さん、しっかりそこの部分を支えていただけるようお願いいたします。長い間、ありがとうございました。


→参考資料
●フランスにおける原子力発電所分布
 出典:日本原子力産業会議「世界の原子力発電開発の動向2000年次報告」

●主要国の原子力発電設備(2000年12月末現在)
 出典: 日本原子力産業会議「世界の原子力発電開発の動向2000年次報告」

●原子力緊急時の防災体制
 出典:経済産業省パンフレット

●主要国のエネルギー輸入依存度(1999年)
 出典:「ENERGY BALANCES OF OECD COUNTRIES,1998-1999」

●各種電源別の二酸化炭素排出量
 出典:電力中央研究所報告書ほか

●原子力発電を新エネルギーで代替する場合
 出典:日本原子力産業会議「原子力ポケットブック2000年版」




関西原子力情報ネットサーフィン

お問い合わせ等のメールはこちらからどうぞ
〒550-0004 大阪市西区靭本町1-8-4大阪科学技術センター5F
関西原子力懇談会内